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公正証書遺言を作成するための必要書類と費用の大きさとは

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遺言書を作成することで遺産分割の方法を指定したり家族や友人に対する思いを伝えたりすることができます。気持ちを伝えるだけであれば作成方法についてあまり慎重にならなくてもいいですが、遺産の取り扱いなど、法的な効力を生じさせるためには法律に則って適式に遺言書を作成しなければなりません。
いくつか種類がある中でも、「公正証書遺言」は公証人が作成に直接関わるため有効な遺言書が作成しやすいといえます。ただし自分1人で作成できるものではなく、必要書類の準備、費用の準備も必要となります。

公正証書遺言作成の必要書類

公正証書遺言の作成は公証役場で行います。公証役場に遺言書を作成したい旨を伝えて、公証人とやり取りしながら作成手続を進めていくことになります。

公証人側としては、作成の申し入れをしてきた方が遺言者本人であるかを確認する必要がありますし、その他相続人や受遺者(遺言書の効果により財産を受け取る方)に関する情報も必要です。また、遺言書に記載する財産についての情報、必要に応じて遺言執行者に関する情報も確認する必要があります。

さらに、公正証書遺言を作成するには証人が2人以上必要です。そのため証人についての情報が記された資料も提出しないといけません。

必要書類をまとめると下表のように整理することができます。

 

公正証書遺言作成の必要書類

遺言者本人を確認する資料

3ヶ月以内に発行した「印鑑登録証明書」

さらに次の資料の提出が求められることもある

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 住民基本台帳カード

相続人を示す資料

遺言者本人と相続人の続柄が記載されている「戸籍謄本」

受遺者に関する資料

遺贈により遺産を取得するのが相続人以外である場合、受遺者の「住民票」を用意する。

証人に関する資料

証人の氏名・生年月日・住所・職業がわかる資料。

遺言執行者に関する資料

遺言執行者の指定がされている場合、その方の氏名・生年月日・住所・職業がわかる資料。

遺産に関する資料

不動産であれば「登記事項証明書」と「固定資産税納税通知書」。あるいは固定資産評価証明書、課税明細など。

 

その他公証人から資料の提出を求められたときは書類の発行手続を進めなければなりません。

公正証書遺言の作成にかかる費用

公正証書遺言の作成手続では、公証人手数料の支払いが必須です。また、必要書類を発行するために少額ながら費用は発生しますし、遺言書作成について専門家に相談をするときは相談料も発生します。

公証役場で支払う手数料

遺言書のみならず、公証役場では公正証書を作成することができます。公正証書は基本的に文書に記載する価額に対応して手数料が発生し、遺言書の場合も例外ではありません。

次の表にある通り、遺言書に記載する財産の価額に応じて、手数料の額も定まります。

 

記載金額

手数料

加算額

100万円以下

5,000円

遺言加算として11,000円

200万円以下

7,000円

500万円以下

11,000円

1,000万円以下

17,000円

3,000万円以下

23,000円

5,000万円以下

29,000円

1億円以下

43,000円

3億円以下

43,000円

超過5,000万円あたり13,000円

10億円以下

95,000円

超過5,000万円あたり11,000円

10億円超

24万9,000円

超過5,000万円あたり8,000円

参照:公証人手数料令 第9条別表

価額が1億円以下の場合は手数料に11,000円が加算されます。これは「遺言加算」と呼ばれます。
また、1億円超の場合にも5,000万円を上回るごとに加算がなされます。

以下の費用についても要注意です。

  • 原本、正本、謄本の作成費用:1枚あたり250円
  • 公証人に出張をしてもらう場合:手数料が50%加算、さらに日当や交通費も発生

必要書類の発行費用

作成手続を進めるために印鑑登録証明書や戸籍謄本など、多種多様な必要書類を集めなければなりません。各書類の発行にも費用が発生します。

住民票なら1通300円、戸籍謄本なら1通450円、その他の書類についても1通あたりは大きな費用負担にはなりません。しかし多数集めることで数千円以上の費用は発生しますし、手間もかかります。

司法書士への依頼費用

遺言書に記載する内容は相続人や受遺者に重大な影響を与えるものです。遺言書の内容次第で親族や知人等の間で紛争が起こる可能性もあります。そのため遺言書作成にあたっては、必要書類や費用のことなど「作成方法」に注意するだけでなく、「遺言内容」にも注意をしないといけません。

相続制度は法律に基づいていますので、法律に詳しい、そして相続問題に取り組んだ実績のある専門家を頼ることが重要です。

関係者が揉める可能性が高い場合には、交渉などにも対応できる弁護士に依頼することも検討しますが、依頼費用がその他の専門家に比べて平均的に高いです。

そこで遺言書作成や相続制度一般についての相談であれば、司法書士や行政書士も適任です。司法書士は登記のプロでもありますので、名義変更で登記申請を要する不動産にも強いという特徴を持ちます。そこで財産の中に不動産が含まれているときは司法書士に頼ることがおすすめです。

相談や依頼費用の具体的な金額は、依頼先により異なります。また、サポートしてもらう内容や範囲によっても変動します。10万円~20万円程度が相場といわれていますが詳細は依頼先で確認しましょう。

公正証書遺言と自筆証書遺言の費用や手間の比較

公正証書遺言とは別に、「自筆証書遺言」という種類もあります。

こちらは遺言者が1人で作成でき、手間や費用の面では公正証書遺言より負担が小さいです。ただし遺言者自身で保管方法について考えなくてはならず、紛失や改ざんなどのリスクが伴います。

そこで近年法務局で保管する制度が創設されました。法務局での保管を依頼する場合は費用が発生します。とはいえ公正証書遺言ほどの負担はなく、手数料は遺言書1通につき3,900円です。必要書類として保管申請書と住民票の写し、顔写真のある身分証明書を準備することになります。

保管制度を利用してもやはり必要書類準備の手間、そして費用は公正証書遺言より少なくて済みます。ただ、公正証書遺言ならではのリスクの小ささ、安全性を得ることはできませんので、遺言者となるご自身がどちらを選択すべきかよく考える必要があります。