司法書士法人池袋法務事務所 > 記事一覧 > 遺言執行者とは?流れや手続き方法を解説
遺言執行者とは?流れや手続き方法を解説
カテゴリ:記事一覧
被相続人の方が亡くなった後には、遺産の相続が行われます。
この遺産の相続に関して自身の希望が残せるのが遺言書です。
その遺言書の内容を実現するために、心強い存在が遺言執行者です。
この記事では、遺言執行者の義務や業務、また指名方法などに関して解説していきます。
遺言執行者とは?
遺言執行者とは遺言書の内容を実現するために、必要な業務を担う方です。
遺言書がある場合、必ず遺言執行者が必要というわけではありませんが、遺言執行者がいることで、相続に関する手続き等がスムーズに行えるようになります。
遺言執行者の選任方法
遺言執行者の選任方法は2つありますので、その2つの選任方法を紹介しましょう。
遺言書で指名する
遺言執行者を選任する場合、もっとも多いのが遺言書にその旨を記載しておくという方法です。
被相続人自ら、生前に遺言執行者を指名し、そのことを遺言書に残すことで選任が可能となります。
被相続人の死後に相続人が選任申し立てを行う
遺言書に遺言執行者の記載がない場合で、遺された相続人が遺言執行者が必要であると結論を出した場合には、家庭裁判所に選任の申し立てが可能です。
被相続人が最後に住んでいた地域を管轄とする家庭裁判所に申し立てを行い、選任してもらいます。
ただし、遺言執行者の選任には手間や時間もかかるため、自身が遺言書に遺した意思をできるだけ実現したい場合は、遺言書にて指名しておくのがおすすめです。
遺言執行者指名の注意点
遺言執行者は、遺言書にて指名可能ですが、指名する際に注意すべきポイントを紹介しておきましょう。
遺言執行者となる条件は、18歳以上であり、破産者でもないことですが、主に司法書士など法の専門家が指名されます。
明確に分かるように指名する
指名する際は、どの司法書士を指名したのかがはっきりと分かるように記載する必要があります。
- 氏名
- 所属事務所名
- 所属事務所の所在地
- 電話番号
上記のような情報をきっちり掲載し、相続人がどの司法書士か迷うことがないように記載してください。
第三者となるケースも想定しておく
遺言書を作成し、自身が亡くなるまでの間に、遺言執行者が亡くなってしまう、もしくは司法書士の業務を辞めているというケースが考えられます。
こうしたケースに備え、遺言書には遺言執行者が第三者に変更されることも想定しておく必要があります。
記載をする際には、遺言執行者に指名した人物に、第三者を自身の代わりの遺言執行者として指名する権利があることを明記しておくといいでしょう。
遺言執行者の義務と具体的な業務
遺言執行者が具体的にどのような義務や業務を持つのかという点に関して解説していきます。
遺言執行者の義務
民法上遺言執行者の義務は以下のように規定されています。
民法第1007条2項
遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
民法第1011条1項
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
民法第1012条1項
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
民法第1012条3項
第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。
引用元:e-Gov
上記の法内容を理解し、適切に遺言書の内容を執行できる方が遺言執行者です。
そのためには、法知識が豊富であり、各種登記業務を行える司法書士が遺言執行者には最適です。
遺言執行者の具体的な業務
続いて具体的な業務の一部を紹介していきます。
- 就任承諾をした旨を相続人全員に通知
- 戸籍等の証明書や必要書類の収集
- 相続財産の調査
- 各種登記申請手続き
- 各金融機関に対する解約手続き
- 株式等の名義変更手続き
- 相続財産の換価に関する手続き
- 相続人全員に完了の業務報告
まずは自身が遺言執行者であることを相続人全員に通知してから実務に入ります。
必要書類の収集や登記変更、名義変更など、遺言書の実現に必要な業務を行い、すべての業務が完了したら相続人全員に完了報告を行い業務終了です。
自身が持つ財産の金額が大きい場合はもちろん、財産の種類が多い場合も、相続の手続きには手間と時間がかかります。
こうしたケースでは、遺言執行者がいてくれた方が相続はスムーズに進むでしょう。
まとめ
遺言執行者とは、被相続人の残した遺言を実現するための業務を担う方です。
多くの場合は遺言書において、被相続人が指名しますが、遺言書に指名がない場合は相続人が選任申し立てを行うこともできます。
遺言執行者は、相続人に代わって、遺言を実現するために業務を行う義務を持ち、具体的には登記変更などの業務を担います。
遺言執行者の選任要件は、未成年ではなく破産者でもないことですが、実際に行う業務を考えると司法書士が適任です。
これから遺言書の作成を考えている方は、遺言執行者となってもらえる司法書士に相談するのがおすすめです。
正式な遺言書の書き方から保管方法まで、丁寧なアドバイスがもらえるでしょう。